「グリセリン」

バイオ

本稿ではグリセリンについて述べていくことにします。まずは石油化学工業協会の言葉の定義よりグリセリンの定義を引用します。

グリセリン(glycerine)                                    アルキド樹脂、医薬、ダイナマイト原料として使用される。従来は石ケン製造の際に副産物として得られたが、現在はプロピレンから誘導される合成グリセリンが主流を占めている。液体。

石化協の定義では「合成グリセリン」が主流を占めていると記載されていますが、バイオディーゼル生産増に伴う副生グリセリン生産量の増大にともない、2025年時点では工業的には合成法によるグリセリン生産は無くなってしまっています。以下副生グリセリンの生産量推移を示します。

さて元来行われてきた合成法のグリセリン生産法の二つの代表的生産フローと、バイオディーゼル生産の副生グリセリン生産フローを示します。

メイン生産方法はシェル法でしたが、この製法はプロピレンを塩素化したのち、エピクロロヒドリンを生成し、エピクロロヒドリンからグリセリンを生成する生産方法です。最後に記述しますが、バイオグリセリンの増大はエピクロロヒドリンの生産方法へも大きな影響を与えるとともに、グリセリン市場の変化にも影響を与える事になっています。

従来は石鹸生産及び脂肪酸生産時にも副生グリセリンが発生していましたが、バイオディーゼル生産時における副生グリセリン生成も基本的には同じ背景になります。石鹸、バイオディーゼルの生成量に対して、約1割量の副生グリセリンが生成します。

つぎにグリセリンの需要側から見て行く事とします。まずは最初に全体量の推移から。2010年以降にバイオディーゼルの生産量の増加とともに副生グリセリンの発生量も増加してきました。あわせて副生グリセリンの利用量も増大する傾向にあります。

2025年時点での用途別需要は以下のとおり。あわせて従来からの用途である直接グリセリンを使用する用途を示します。毒性がない物質であることより、直接摂取する用途、接触する用途に展開されています。

続いて従来から使用されている化学品原料としての用途でポリエーテルポリオールの開始剤としての用途と、アルキド樹脂用途の紹介です。

最後に上述したエピクロロヒドリンについてと、グリセリン需給への影響について述べて行く事とします。下記のとおりエピクロロヒドリンのメインの用途はエポキシ樹脂の原料(エポキシ基導入のため)ですが、合成グリセリンの原料の位置づけでもありました。

上述しましたが、繰り返しでシェル法のエピクロロヒドリン製造フローをしめします(従来はこの製法の先にエピクロロヒドリンからグリセリンを製造していました)

一方現在は合成法による生産が継続されているとともに、副生グリセリンを原料に塩素化してエピクロロヒドリンの生産量が増大してきています(生産方法はエピクロロヒドリンからグリセリン生産の逆の方法です)。

2025年時点では世界生産の約半分の量が副生グリセリンを原料とする製法に転換していると考えられます。この分野の副生グリセリンの利用が今後も拡大していくものと推定されます。

                                       以上」

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