本稿ではビタミンのうち、合成で製造されているビタミンAを取り上げることにします。ビタミンAはサプリメントなどで摂取することもできますが、人は日常の食生活のなかで緑黄色野菜に含まれるβカロテンという形で摂取できるビタミンです。まずは繰り返しになりますが、ビタミン全般の定義とビタミンAの定義について。



最初に述べましたβカロテンとビタミンAの関係は以下のとおり。所謂ビタミンAのダイマーがβカロテンであり、緑黄色野菜中にはβカロテンで含まれているものが、人が摂取した後、分解されてビタミンAに変化して効能を発揮するという仕組みです。

次にビタミンAの用途を示します。下記のとおり人が直接摂取する用途の医薬や食品向け比率は低く約8割が飼料用添加剤として使用されています。なかでも豚・鶏向けの飼料が多くをしめます。

なお参考までにビタミンAの流通形態を示します。飼料向けは酢酸エステルの形で提供され、サプリ向けでは脂肪酸エステルの形で提供されています。

ビタミンAは飼料向け市場が牽引役として市場が年々拡大していますが、その成長率は低成長に留まっています。なお日本での生産はゼロであり、需要分の殆どは飼料などの製品として輸入されています。

つぎに歴史のあるビタミンAの製法について述べていきます。主流の製法は3社により開発された製法であり、現在も基本的な製造方法は変っていません。
どの製法も古典的な化学反応を利用した複雑な工程ですが、共通している点としてβ-イオノンを出発原料としている点があると言えます。




最後に共通の出発原料であるβ-イオノンについて。異性体が存在しますが、ビタミンA原料はβイオノンです。この製品の特長としては工業的生産を世界で実質的に行っているのがBASF社一社のみと言う現状があります。(その前駆体のシュードイオノンも実質的にBASFのみという現状もあり)
BASF社以外にも多数の会社がビタミンA事業に参入していますが、バリューチェーンの面から見ると全てのビタミンA供給はBASF社に依拠しているという現状が存在しています。


以上」
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