「不飽和ポリエステル」

ポリマー

今回は熱硬化性樹脂の一つである不飽和ポリエステルについて述べて行く事にします。こちらの定義が石油化学工業協会にありましたので引用します。

不飽和ポリエステル樹脂(unsaturated polyester resin) 略称UP                プロピレングリコールあるいはその他のグリコール類と有機酸及びスチレンモノマーを原料として製造される。化粧板、建材、浴槽等に使用される。固体。

何の不思議もなく「不飽和ポリエステル樹脂」として使っていますが、「不飽和」とは何ぞやということに疑問が湧くことはないのでしょうか?一般的に「ポリエステル樹脂」と言えば「PET(ポリエチレンテレフタレート)」のことを指しますが、こちらは「飽和」ポリエステルとは言う事は一般的ではありません。じゃあ「不飽和」とはですが、構造式を下記の通り示す通り、赤丸部分が二重結合になっており、反応性がある事を「不飽和」として表現しています(一般的には全く無関心なお話です)

フェノール樹脂の投稿にて述べませんでしたが、不飽和ポリエステルはフェノール樹脂と同様に熱硬化性樹脂を代表する樹脂の一つです。下記分類表を示します。熱可塑性樹脂は「加熱」することで「可塑性」を発揮する樹脂に対して、熱硬化性樹脂は「加熱」すると「硬化」する樹脂のことです。

さて先ずは不飽和ポリエステル樹脂の生産方法から見て行く事とします。不飽和ポリエステルは最初に「プレポリマー」を製造することから始まります(上記構造図はプレポリマーを示します)。プレが示す通り、ポリマー製品としての最終形ではありません。後で示す通り、プレポリマーが架橋剤で架橋されて樹脂が硬化した形が不飽和ポリエステル(最終形では不飽和ではありません)と言う事ができます。

以下プレポリマーの製造フローと主な原料について述べます。①プレポリマーの合成、②プレポリマーの架橋剤(殆どの場合はスチレンモノマー)との混合の流れになります。

上述不飽和ポリエステルオリゴマー・プレポリマーを加熱することで架橋反応が始まり、化学構造は下記右図の網掛け構造となって樹脂が硬化します(これで不飽和ポリエステルの完結形です)

では次に不飽和ポリエステルの用途を見て行くことにします。一番身近な事例としてはユニットバスやキッチンカウンター(必ずしもUPRとは限りません)などです。ただしフェノール樹脂のところでも述べた通り、不飽和ポリエステル樹脂自体は成形品そのものではありません。あくまでフィラーのバインダー機能を果たす樹脂になります。

次に不飽和ポリエステル樹脂を使用した加工方法を示します。バスタブの場合はガラス繊維シートに樹脂を吹き付ける方法、風力発電ブレードの場合はガラス繊維シートを加工し、そこに樹脂を刷毛で塗布して含侵させる方法を採用しています(加温することなく常温で硬化します)

最後に不飽和ポリエステルの世界市場の推移を推定して算出しました。不飽和ポリエステル樹脂の公式な統計数値を把握することが出来ていないので、主原料の無水マレイン酸需要量から算出することとしました。基準は無水マレイン酸需要の半分を不飽和ポリエステル樹脂向け需要とし、また不飽和ポリエステル樹脂の無水マレイン酸原単位0.25として算出した数値を需要量としました。

なおこの分野も日本の地位低下は止まりません。世界需要が600万トンを超える状況の一方で年々需要量は低下し10万トン前後まで低下してしまっています。この間事業再編が行われ事業会社が減ってしまいました。一方、樹脂の輸入は物性状から困難なこともあり進んでいるわけではありません。かわりに以前は考えられなかった製品輸入の形で実施されています。

                                        以上」

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