本稿ではポリαオレフィン(PAO)について述べて行きます。ポリと名乗っていますが、ポリマーではありません、性状面ではポリマーよりもオリゴマーに近い物質です。

PAOの用途は自動車向けエンジンオイルを始めとする潤滑油のベースオイルに全量が消費されています。PAOは潤滑油基材のうち、合成油に分類される種類の一つであり、合成油のなかでは最も需要量が大きい種類になります。


PAOの需要先のうち最も有名な製品はエクソンモービル社の「モービルー1」です。PAOを使用したエンジンオイルの組成例を以下の通りしめします。

さて、次にPAOの需要推移について。ここ近年は需給の上下が激しくなっていますが基調としては右肩上がりの拡大傾向にあります。一時期はEVのシェア拡大が抑制要因になると考えられましたが、EV市場の勢いが落ちてきたこともあり懸念事項は薄らいできているようです。
原料のαオレフィンとの関係では従来より1割程度を占めており重要な位置地付けにあります(とりわけC10においては最重要需要先です)。なお日本ではPAOの生産は行われ来たことはありません。



最後に生産方法と世界の生産能力について。生産方法は1-Deceneを中心にアルカリ触媒を使って反応させます。生成物はオリゴマー、トリマー、テトラマーの混合物です。

なおPAOは非常に特徴的な供給体制になっています。かなりの規模化学品にもかかわらず、実質的に三社の寡占状態にあります。背景には原料のアルファオレフィンの供給体制(エクソンモービルはシェルからの供給を受けていましたが、αオレフィン生産にも参入開始)が限定的であること。また需要側の潤滑油市場をオイルメジャーが熟知していることから他分野からの参入障壁が非常に高いものと推定されます。ここに日本企業の参入余地は見えません。

以上」


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