今回は合成ゴムで最大の需要規模を有する「スチレンブタジエンゴム」(SBR)について述べていくことにします。ゴムにおける位置づけは以下のとおり。


合成ゴムのうち、SBR(SSBR/ESBR合計)は約3分の1程度をしめる最大のゴム種になります。石油化学工業協会にSBRの定義がありましたので以下のとおり引用します。
スチレン・ブタジエンゴム(styrene butadiene rubber)略称SBR スチレンモノマーとブタジエンを共重合させて製造する最も代表的な汎用合成ゴム。天然ゴムに比べ耐老化性、耐熱性、耐摩耗性などが優れている。自動車タイヤをはじめ、履物、工業用品、ゴム引布等に使用される。固体。なお、このゴムのラテックス(乳液状)は紙のコーティング剤や繊維処理剤等として重要な役割を果たしている。
石油化学工業協会の定義にあるとおり、細かく分類するとSBRの分類は以下の通りになります。「ゴム」には分類されませんが、スチレン含有量の多いスチレン/ブタジエン共重合体はラテックスとして市場に投入されています(少なくなりましたが広告紙コートなどに使用されています)。

上記の分類表にあるとおり、SBRも最近は大きく二つに分類されています。従来からのSBRはE-SBRとよばれるもの。もう一つはS-SBRと呼ばれる特殊機能化されたSBRになります。このS-SBRは従来から存在したものですが、2010年頃を境にして旭化成、日本ゼオン、住友化学などの日本の会社が事業を拡大し市場も拡大してきました。
ここ数年はSBR全体の市場の伸びは低成長率にとどまっていますが、年々S-SBRの比重が高まっていることが明白です(よって日本企業の存在感も低下してきており、先駆者の住友化学は事業撤退してしまいました)。

つぎにS-SBRとE-SBRについて述べていきます。まずは従来型のE-SBRについて述べていきます。製造法は「Emlusion」重合法であり、水溶媒中でスチレンとブタジエンの重合を行いSBRを製造します。
用途は7割以上がタイヤ(トレッド:接地面)用途になり、その他は所謂ゴム製品です。一部に接着剤用の樹脂として使用されています。


つぎはS-SBRについて述べていきます。重合法は有機溶媒中で重合する事でSBRを得る事になります。構造上特徴的なのは、SBRの末端構造に官能基を有していることになります。後ほど述べますが、この官能基を有していることがエコタイヤ向け需要に採用されて需要が増えてきた要因になります。
用途はE-SBRと同様にタイヤのゴム原料としての採用が中心であり、またタイヤ使用部位もE-SBRと同様にトレッド部中心に使用されています。



最後にS-SBRの用途の機能を見て行くことにします。使用されるタイヤの部位は下記のとおりです。「トレッド」といわれる接地部に使用されています。

なぜに使用されることになったかの簡易図を作ってみました。まず最初の背景は、欧州にてエコタイヤの需要が増加したことにより、ゴム強化剤が従来の「カーボンブラック」から「シリカ」配合が大きくなりました。
しかしながら実際に走行するとなるとSBRとシリカが摩擦を起こしてしまい、かえって燃費の悪化を招いてしまいました。ここでこの課題を解決すべく開発されたのがS-SBRです。一例としてS-SBRとシリカが結合した状態を示しています(摩擦が起きなくなります)。


最初に日本にて開発されたS-SBRも現在は、各社の参入が相次ぎ、各社のタイヤに採用されるに至っています。現時点において経済産業省の機能化学製品、エコ製品として認定されていますが、現状は各社とも事業的に苦しくなってしまっているのが実情と言えましょう。
以上」
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