ベンゼンの大型誘導品であるシクロヘキサンについて述べていきます。いつものとおり石油化学工業協会のの言葉の定義を引用します。
シクロヘキサン(cyclohexane) カプロラクタム、アジピン酸等の原料であり、溶剤としても使用される。ベンゼンを水素添加して製造される。液体。

シクロヘキサンの製造は殆どが上記ベンゼンの水素添加によって製造されています。ごく一部にナフサ中にあるシクロヘキサンを抽出されいますが数量は不明です。なおシクロヘキサンのベンゼンの位置づけは以下の通りになります。三番目に大きなポジションの状況です。

次にシクロヘキサンのバリューチェーンをまとめてみました。シクロヘキサンのSupply側は略全量が上記ベンゼン水添法による生産で供給されています。一方第一次の需要側は溶剤・溶媒用途の他に約8割が酸化されてシクロヘキサノン・シクロヘキサノールに転換されて供給されている点が特徴と言えましょう。よって、シクロヘキサノン・シクロヘキサノールについて言及することとします。

シクロヘキサノール・シクロヘキサノンは「シクロヘキサンの酸化」若しくは「フェノールの水添」の何れかの方法で生産されており、両物質の混合物として生成されてきます。一般的にはシクロヘキサノールの量が多く含まれています。なおこの混合物は慣用句で「KAオイル」(ケトンのK、アルコールのA)と呼ばれています。製造フローは以下の通りとなります。
なお、欧州においては以前より総コストを比較してフェノール法が多数採用実施されており優位な状況です。一方世界需要の中心地である中国においてはフェノールの供給に余裕がない背景があり、シクロヘキサンの酸化法が大きな比率を占めています。

さて次にこのKAオイルの用途について述べることにします。上図のとおりその殆どが「カプロラクタム」「アジピン酸」の両製品の原料として使用されています。一部溶剤用途(とくにシクロヘキサンノン)の需要も存在しています。
次に一つ目カプロラクタムの製造フローと用途マップを示します。製造法は様々な方法が開発実施されていますが、主流のオキシム化~ベックマン転移製法を示します。なお誘導品マップは略全量がナイロン6の原料として使用されていることを示します(カプロラクタム及びナイロン6は別稿投稿します)。
下に示しますカプロラクタム製造方法はシクロヘキサノンをオキシム化させたのち、ベックマン転位反応でカプロラクタムとします。この製法の特徴はカプロラクタムの1.7倍重量以上の硫酸アンモニウムが発生する点です。硫酸アンモニウムは肥料として使用されますが、工業国での需要が小さい事から処理方法が事業収益に大きな影響を与えるものです。


二つ目はアジピン酸について簡易に述べることとします。製造フローは簡易なマテリアルバランスを示します。この製法の大きな問題点は酸化剤で硝酸を使用することから大量の酸化二窒素が発生する事ですが、現時点でも代替製法は見つかっていない現状です。

最後にアジピン酸の誘導品について。需要先は下記の通り展開されます。ナイロン66が一番高い比率を示しますが、カプロラクタムと異なり様々な誘導品に展開されているのが特徴です。アジピン酸については追って別稿にて投稿します。

以上」

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