ベンゼン~シクロヘキサノンの誘導品であるアジピン酸の概要について述べて行きたいと思います。石油化学工業協会のHPに定義がなかったので、Wikipediaから引用させていただきます。
アジピン酸 (adipic acid) は 示性式 HOOC-(CH2)4-COOH、分子量146.1のジカルボン酸。IUPAC命名法ではヘキサン二酸 (hexanedioic acid) となる。シクロヘキサンを酸化することによって得ることができる。ヘキサメチレンジアミンと共に6,6-ナイロンの原料として工業的に重要と される。
ジカルボン酸の構造からナイロン66を始めとするポリマー及びポリマー原料に使用されています。製造法は実質的にはシクロヘキサノンの酸化方法のみが実施されています(ブタジエン法も検討開発されていますが経済性の面から実施に至っていません。下記のとおりマテリアルバランスと、生成のメカニズムの一例をしめします。
やはり本法の大きな課題は酸化剤に硝酸を使用することで、大量の酸化二窒素が発生すること。この酸化二窒素の問題とされるのが二酸化炭素に比して温暖化効果が約310倍と言われている事です。ただし現状としてはこの製法を上回る製法がなく、殆ど(全て)のアジピン酸がこの製法にて生産されています。


つぎに需要側からアジピン酸を見て行くこととします。以下グラフはS&P GlobalがAPIC2025で公開した資料から引用しています。アジピン酸需要は一時期コロナ禍の影響により2020年に落ち込みましたが、現在は成長軌道に戻っており市場は拡大する見込みです。

需要側のブレークダウンを示します。大きく二分野が市場を占める状況です。一つはナイロン66、もう一つはウレタン樹脂原料となるポリエステルポリオール分野。それに昔からの可塑剤用途。その他に分類されているところでは生分解性樹脂のPBAT樹脂の需要の伸びが期待されているところです。

次は同じくS&P Globalの資料より分野別の需要推移の履歴と推定になります。下記グラフからわかるとおり、アジピン酸需要の中心であったナイロン66需要が伸び悩んでいることから主役をナイロン66以外の需要に移り替わることが推定されています。

なお本稿にてはナイロン66とアジピン酸について最後に簡単に述べていくことにします。まずは石油化学工業協会のことば定義を引用します。
ナイロン66 略称PA66
ヘキサメチレンジアミン水溶液に等量のアジピン酸を加えて得られるナイロン塩水溶液(AH塩)の重縮合体。ナイロン6に比べて融点が高いため耐熱性に優れているほか、弾性率、寸法安定性が良好。用途はナイロン6とほぼ同じであるが、相対的に自動車部品のウェートが高く、特にワイヤーハーネス・コネクターに実績がある。
需要推移と需要の具体例を拾ってみました。グラフの引用先はWood Mackezieがドイツのセミナーで2025年に公開した資料です。ナイロン6と異なる点は、繊維用途よりもエンジニアリングプラスチック用途の比率が大きく上回る点になります。繊維もエンプラ用途も工業用用途が中心ですから普段直接目にする機会が少ない樹脂と言えます。繊維の場合はビジネスバックのTumi社のカバンに、またガソリンスタンドの給油ガンの部品にナイロン66が使用されています。


最後はナイロン66におけるアジピン酸の使用方法です。主原料として下記のとおり使用されています。ナイロン66の原料のもう一つはヘキサメチレンジアミンがありますが、長年供給不安、供給不足の門団が生じていたこともナイロン66の成長阻害要因になっていると思われます。

以上」

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