「メチルメタアクリレート」製造法

プロピレン系モノマー

三菱ケミカル社が世界№1の生産能力シェアを有するメチルメタアクリレート(以下MMA)の製造方法について述べていくこととします。

まずはMMAの定義について石油化学工業協会の言葉の定義から引用します。

メチルメタクリレート(methyl methacrylate)略称MMA                     MMA樹脂の原料。メタクリル酸メチルあるいはMMAモノマーともいう。製法的には従来アセトンシアンヒドリン(ACH)法が主体であったが、シアン化水素不足から、最近はイソブチレンまたはこれを含むC4留分の直接酸化による製法が主流となっている。液体。

まずはMMAの用途について簡単に。現在の市場規模は約400万トン程度と言われていますが、需要の3分の2はPMMAに消化されます。またPMMA需要のうちの半分強(MMA全体では3分の1)がシートとして市場に投入されます(ペレット押出成形と、キャスト重合法に分かれます)。残りは所謂アクリルコーティングと言われる分野で建築及び自動車塗装に使われています。

さて本稿の主題であるMMAの製造法について述べて行くことにします。製法により違いはありますが、原料で大きく分けて3手法になります。①アセトンシアノヒドリン(C3)法、②C4法、③エチレン(C2)法になりますが、現状の実施シェアを下記のとおり示します。

つぎに三製法の比較をしてみますが何れの製法もメリット・デメリットあり第三者の立場からすれば何れの製法が事業場有利なのかは判断できません。

引き続き、各製法について各論を述べて行きます。まずはACH法から。付帯資料として新ACH法(三菱ガス化学開発・硫安副生なし)のフローを示します。

ACH法の原料面のポイントは安価な青酸の入手。目的法青酸では採算性が悪化することになります。また最終段階での副生硫安の処理方法が収益に大きく影響します。同様な事例はカプロラクタム事業も副生硫安処理の課題を抱えています。

つぎは三菱レイヨン(現三菱ケミカル)が最初に開発し、その他にも住友化学、三井化学、日本触媒など日本の会社のみが展開しているイソブチレンの酸化法になります。イソブチレンの入手ができれば競争力を有する製法と考えられます。

最後に最も新しいエチレンを出発原料とするエチレン法MMAの三法を見て行くこととします。まず最初の実施はBASFの製法です。MMAとしての競争力は他の製法に比して劣るとされていますが、BASF社は既存のプロピオンアルデヒド工場を利用していることと、MMAを塗料原料として殆どを自家消費していることから事業継続性があると推定されます。

 つぎにα法(Lucite法)とLima(Evonik法)を示します。α法はシンガポールで最初に実施され、そのあとにサウジアラビア王国にSABIC社とのJVにて大型設備を稼働開始しています。

一方Lima法は米国にてEvonik社事業を買収したRohem社が米国にて2025年に稼働開始し、能力拡大を発表しています。

今後について技術面では、ACH法及びC4法については進展は見込めないと思われますがC2法については技術開発が引き続き進んでいくものと考えられます。なおバイオ法はイソ酪酸からの製造法等が検討されていますが、大きな進捗は見られていません。

                                         以上」

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