基礎化学品の一つキシレンについての概要です。構造式でいうと以下の三つプラス、エチルベンゼンの四つの異性体。基本構造はベンゼン環に二つのメチル基が付加した化学物質。四つ目のエチルベンゼンは厳密にいえばキシレンでは無いのですが、原料の混合キシレンの一成分として含有しているので、今回含めています。さて、石油化学工業協会におけるキシレンの定義は以下のとおり。

キシレン(xylene)
C6H4(CH3)2 ナフサの改質油あるいはナフサ分解によってエチレンと併産される分解油から抽出または分留される。通常、混合キシレンと呼ばれ、三種の異性体(o-、m-、p-)及びエチルベンゼンの混合物であり、異性体分離によってo-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、エチルベンゼンが、また脱アルキル化によってベンゼンが得られる。キシレン自体は塗料、印刷インキ、農薬等の溶剤に使用される。液体。
キシレンの原料は現在は石油精製における改質油とナフサ分解炉における分解ガソリンが原料であり、この二原料からキシレン及びエチルベンゼンを取り出すことで製品化されます。
日本芳香族工業会より「改質油」と「分解ガソリン」の定義がありましたので引用します。 改質油 石油精製には、ガソリン留分のオクタン価をあげるために、炭化水素の構造を変える改質装置があります。改質された油には、オクタン価が高いベンゼン、トルエン、キシレンが含まれるので、芳香族の原料としても使用されます。 分解ガソリン ナフサを熱分解してエチレンやプロピレンを作るときに、副生物として分解ガソリンができます。分解ガソリンにはベンゼン、トルエン、キシレンが多量に含まれるので、芳香族の重要な原料となっています
両原料における組成を以下の通りです。各芳香族が多く含まれていることが分ります。

つぎに生成された改質油と分解ガソリンから各芳香族成分を、蒸留法、抽出法を使い分ける事で分留していきます。ベンゼン、トルエンと混合キシレン、及び重質芳香族類に分けて取り出されますが、この時点では混合キシレンから各キシレン異性体を分けて取り出すことはできません。
次のステップは、混合キシレンからの成分取り分けフローになります。最初の混合キシレンを含有量別に取り出すことはなく、エチルベンゼンは殆ど取り出されることはなく、最終的には混合キシレン溶剤として使用されます。

なおキシレン成分は需要の殆どはパラキシレン需要になります。実際にはオルソキシレン、メタキシレンは需要量以上に含有されていますので、必要分のオルソキシレンとメタキシレンを取り出したのち、需要を満たすために異性化を行ってパラキシレンの生産を行っています。

もう一つキシレン供給源としはトルエンを原料に不均化工程を行うことでキシレンの生産が大規模に行われています。以下不均化フローを示します。

以上まとめると2025年のキシレン及びベンゼン&トルエンの需給バランスを推定してみました。愚痴を言っても仕方がないけど、現役時代に本件需給バランスを聞いたことがなかったです。重要じゃないのかなあぁ~。

以下、3つの各異性体キシレンについての各論です。今回まとめをしていて感じたのが、この各キシレンの一次誘導品は基本的に一種類の誘導品しか無いという事実です。パラキシレンはテレフタル酸(もしうはジメチルテレフタル酸)のみ、オルソキシレンは無水フタル酸のみ。メタキシレンは殆どがイソフタル酸であるということです。
以下各キシレンの誘導品マップを示します。なお各フタル酸の状況については別稿にて綴っていきます。



以上」


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