ブログ初めての投稿ですので、お見苦しい点、分かりつらい点についてはお許しください。投稿都度改善していきますので宜しくお願いします。
最初の投稿は2026年6月1日時点でニュースの中心の「ナフサ」についての情報です。化学会社に在籍していた人間としては日常的な言葉なのですが、最近は新しく知った言葉を、特別な専門用語を使ってるかの如く、また「知ったかぶり」のニュースがなされていますね。頻繁に飛び交っているのは「ナフサ不足」と「ナフサ由来製品」という言葉。つい最近までは「ナフサ」なんて知られていなかったので「石油」を使われていたんですけどね。「ナフサ」はガソリンや灯油と一緒で「石油製品」の一つですからナフサという単語をわざわざ使う必要などないはずなのです。ただナフサが他の石油製品と異なるのはガソリンや灯油、ジェット燃料が「燃料」用途であるのに対して、ナフサの主用途が「原料」であるって言うことが現在起きている騒動の一因です。
日本の石油化学工業協会のHPによれば「ナフサ」の定義は以下のとおり。 ナフサ(Naphtha) 石油化学の出発原料。原油を常圧蒸留した際、沸点範囲が30℃から170℃位の温度範囲で得られる軽質留分がこれに該当する。蒸留範囲の違いによって軽質ナフサ、重質ナフサ、この両者を含むフルレンジナフサに大別される。これらの留分は揮発油でもあり、粗製ガソリンとも呼ばれる。比重は0.7前後。 液体。
ナフサは石油製品の一つなので原料は「原油」です。ナフサの製造方法は原油を受け入れて、石油精製設備である常圧蒸留装置(CDU)にて沸点の違いを利用し石油製品の一つとして取り出されます(合成じゃありません)。石油精製会社はCDUで石油製品を作り分けています。(*「蒸留」の身近な例は調理でお酒のアルコール成分を飛ばすとか、お酒のアルコール度を高めて蒸留酒「ウイスキーやウッカ」を製造する事例があります)。 下記の蒸留装置と石油製品の統計図を出光興産さんのHPから引用しますので概要を把握できます。

この蒸留処理と製品を化学的に見てみましょう。基本的にはどの製品も構造的には「アルカン」(飽和鎖状炭化水素)という化学構造です。製品の大きな違いは「炭素」の数です。一般的に炭素の数が小さいほど沸点が低く、常温での性状は気体か液体です。炭素数が大きいほど固体に近いアスファルトやワックスの様な製品になります。(なおアスファルトの構造には芳香環を多く含みます。)


次に原油の成分を構造別に成分で見た場合を示します。下記は中質油と呼ばれる原油種の事例です。原油成分の約8割は炭化水素と呼ばれる物質ですが様々な構造で存在しています。残りの成分も硫黄、窒素、酸素を構造に含んだ有機化合物が殆どですが、他にバナジウム等の金属分も僅かですが含まれます。石油製品となると僅かであっても硫黄も酸素も窒素も金属も含まれてしまうと邪魔モノですから蒸留処理をする前に処理が施されます。またこれらの物質が含まれて蒸留処理を行うと製造装置を痛める要因にもなりますから事前に取り除かなければなりません。

次に原油の炭素数別構造別の組成と、出来上がった製品の生産量を示します。下記炭素数別の構成を見ると出来上がった製品の炭素数の構成とは大きく異なることが分かります。つまり炭素数+10以上の成分が分解してガソリンやナフサの様な低分子の製品に転換されることが分かります。

次に世界の石油製品の需要推移を示します。1980年代半ばの第二次オイルショック、2008年のリーマンショック、2020年のコロナウイルス蔓延など経済危機の都度、石油需要の一時的な落ち込みはありましたが、燃料油(主に重油)需要を除いて拡大してきました。なお石油化学需要(ナフサ)は「緑」の部分で示されていますが、年々需要は拡大し加えて石油需要全体に占める比率が上昇傾向にあります。 なお、石油製品の数量単位は「容量」で示します。国際的な取引の場合はBarrel(1バレルは約159ℓ)、日本での取引ですとℓ(ガソリンや灯油の売買で使われます)。一方、化学屋が石油の取引に関して戸惑う事は、化学品の取引単位のその殆どが重量であることです。

下記作表は筆者が独自に作成したものですが、原油市場拡大ともにナフサ需要も拡大しています。また上述したようにナフサが石油製品に占める比率も年々拡大基調にあります。 ちなみに詳細は後述で行いますが、ここで言うナフサは重質ナフサ+軽質ナフサの合計です。このうち約7割が石油化学向けになります。

以上」
