「ABS樹脂」

ポリマー

今回はABS樹脂(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合樹脂)について述べて行きます。ポリブタジエンの稿でも述べましたが、正確に述べると「アクリルニトリル・スチレン樹脂」&「ポリブタジエン」という方が適切だと思いますが、慣例からABS樹脂と呼んでいきます。

ABS樹脂の実際の製造方法は、アクリルニトリル、スチレン、ブタジエンを同時に重合させることはなく、最初にアクリルニトリルとスチレンを重合させてSAN樹脂を製造します。もう一方でブタジエンを重合させてポリブタジエンを製造します。

ABS樹脂を製造するにあたり、SAN樹脂とポリブタジエンの双方を併せる事でABS樹脂が生産されます。以下ABS樹脂の製造法二法を示します。

以下三原料それぞれのABS樹脂需要向けの比率をしめします。繰り返しになりますが、アクリロニトリル及びスチレンの需要先にABS樹脂向けは定義されていません。一方ブタジエン需要先にABS需要と示されていますが、実際はABS樹脂向けポリブタジエンの生産が行われています。

さて続いてABS樹脂需要の市場と需要動向を見て行く事とします。需要先は従来より家電筐体向けが中心で、その他は自動車内外装部品向けやウッドデッキなどの建材向けに使用されています。なお玩具のレゴはABS樹脂製ですが、世界の1%以上を消費するという非常に大きな需要分野です。

さてABS需要動向がどの様になっているかを見て行きます。他のプラスチック同様に伸び続けるとの予測がされていたABS樹脂ですが、ここ数年は頭打ちの状況に陥っています。考えられる理由としては①家電の小型化、買換え長期化の進行、②自動車部品のABS樹脂から他の樹脂転換(PP樹脂)、③事務機器市場低迷などが理由と考えられます。

なお日本市場の動向を示します。状況は壊滅状態とも言っていい状況です。主力だった家電生産の海外移転の進行。輸出市場の縮小などが背景として考えられます。

最後に低迷するABS樹脂市場の中で、ABS樹脂の機能化が行われています。一つは耐熱性ABS樹脂、もう一つは透明ABS樹脂の市場の拡大が期待されています。

                                      以上」   

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