「アジポニトリル」

ポリマー原料

今回はアジポニトリルについて述べて行くことにします。「アジポニトリル」についての簡易な説明を検索してみましたが適度な表現が見つからなかったので、誘導品マップで示すこととします。

構造式はN-butaneの両末端にシアノ基が付加した化合物で、用途のすべてが「ヘキサメチレンジアミン」という化合物です。ヘキサメチレンジアミンの大半はナイロン66の原料として使用され、残りはイソシアネート化されてヘキサメチレンジイソシアネートとしてウレタン樹脂原料として使用されています。

アジポニトリルの需要推移はS&P GlobalがAPIC2025の会議にて発表した資料が下記のとおり。主力のナイロン66需要が想定よりも低迷しており過去数年の需要の伸びは低成長。今後の伸びもナイロン66需要次第の製品と言えます。

なお、ここ20年近く、ナイロン66の供給不安が数年おきに生じてきましたが、理由は原料の一つであるヘキサメチレンジアミンの供給不安があります(遡ってアジポニトリルの供給不安)。ようやく2023年以降になって緩和された感がありますが、理由はインビスタの大型の上海工場が立ち上がったことにあると考えられます(一方インビスタはオレンジ工場を停止する処置を行っています)。

一方で近年中国各社による新規参入が行われましたがこの点は緩和要因になっているとは言い切れないのが実情です。なおグラフで見てわかるとおり、世界の供給者が実質2社体制ということが歴史的な事実です。グラフ一番下のButachime社の資本の半分はインビスタ社であり技術はインビスタ技術を導入しているのが事実です(約8割がインビスタによる供給体制)。

次に問題点を抱えつつ現在に至っているアジポニトリル製造技術フローを紹介します。上のフロー図は主流のブタジエン法。ブタジエンと青酸を反応させて製造する方法です。青酸不足、ブタジエン不足、それに設備の老朽化など様々な要因により供給不安となってきました。              下段はアクリロニトリルの二量化法で米国Ascend社の前身の一社であるモンサント社が開発した技術になります。旭化成延岡も同技術を導入しています。

なお最後の製法は中国の華峰社が導入したアジピン酸法のフローとなります。アジピン酸をベースにしていますのでコスト競争力があるかは疑問ですが、華峰社はアジピン酸製造を行っており、ナイロンの生産も行っていますので一貫生産により課題を解消しているものと推察されます。

つぎにアジポニトリルの全量が消化されるヘキサメチレンジアミンの製造方法と生産能力についてです。アジポニトリルを水素添加することで製造されます。原料のアジポニトリルと異なり多くの企業が新規参入しており競争激化が推定されます。

最後にヘキサメチレンジアミンの主用途であるナイロン66の合成フローとナイロン66需要推移。それとヘキサメチレンジイソシアネートの誘導品マップを示します。

                                   以上」

コメント

タイトルとURLをコピーしました