ポリエステル繊維市場を石油化学業界から見れば、エチレングリコールの最大需要家であり、パラキシレン~テレフタル酸のラインでも最大需要家の位置づけ。また2025年時点で繊維向けもポリマー換算して他のPET樹脂と合わせれば、いまやポリエチレンにほぼ並ぶ巨大な樹脂市場の位置づけです。当然にして後述しますが、繊維としては今やダントツの規模を誇る製品になります。
いつもの通り、石油化学工業協会の言葉の定義より引用します。 ポリエステル繊維(polyester fiber) テレフタル酸あるいはDMTとエチレングリコールによって製造されるポリエチレンテレフタレート樹脂を溶融紡糸した合成繊維。綿に代わるものとして衣料品、産業用に最も多く使用されている繊維。
アクリル繊維の稿にも引用しましたが、世界の繊維生産推移は下記の通り。2000年代以前はコットン繊維が繊維の代表格でしたが、2000年以降はポリエステル繊維が大きく市場を拡大させて繊維市場全体でも6割を超えるシェアを確保。今後もポリエステル繊維のみがますます拡大する勢いは止まりません。

繊維の種類の分類上は以下のとおり。以前はアクリル繊維、ナイロン繊維とならんで三大繊維と呼ばれていましたが、いまやその姿は全く消えてしまいました。

次にポリエステル繊維の需要動向を示します。市場はここ数年で大きく拡大していますが、何といっても牽引役はテキスタイル用長繊維市場の拡大です。

伸びてる長繊維の使用先は、下記パイグラフが示す通り、アパレル(所謂衣料品)とホームテキスタイル(家具、カーテン等、また別分類になっていますがカーペットやラグ)など民生用の需要が大きく伸びて市場を拡大させてきました。

以下に一番の需要先である衣料の素材構成比を示します。衣料全体でもポリエステル繊維が使用量の半分強をしめています。大量に安価なポリエステル繊維が市場に投入されたことにより、安価な衣料製品の市場への拡大と、また一方でファストファッションと呼ばれる市場の拡大も相まってポリエステル繊維需要が相乗的に拡大してきたと言えます。

日本においては繊維産業及びアパレル産業は1990年代以前まで世界の牽引役でしたが、いまや跡形もなく壊滅状態とも言えます。替わりに大量のアパレル繊維製品(家具もカーペットも)が輸入され市場が形成されています。もう二度と日本における繊維生産及び衣料品等の製品生産も戻る事はないでしょう。
最後にポリエステル繊維の製造フローを見ていく事とします。まずは重合フローから。


次のステップは紡糸工程を示します。先のアクリル繊維はポリマーを溶剤で溶かす溶液紡糸ですが、ポリエステルは溶融紡糸を行っています。この点がコスト面でアクリル繊維より優位となり、アクリル繊維の需要分野をポリエステル繊維が侵食できた一因とも言えます。

以上」


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