アクリロニトリルの誘導品の一つであるアクリル繊維についてのべていきます。アクリル繊維は合成繊維の一つで昔からの製品ですが、最近は合成繊維の一つであるポリエステル繊維の勢いに押されて存在感の縮小を否めません。まずは化学繊維協会のHPよりアクリル繊維の定義の一部を引用します。
アクリル繊維は、 アクリロニトリルを主成分とする合成繊維です。アクリロニトリル100%の繊維は紡績と染色が難しいため第二成分を共重合して改質しています。このアクリロニトリルの含有量でアクリル繊維とモダクリル繊維とに分類されます。
最初に言及しました主原料のアクリルニトリルにおけるアクリル繊維の位置づけは以下のとおりです。長らくアクリル繊維はアクリロニトリルの需要先の第一位の位置にありましたが、現時点(2025年)においてはABS樹脂に抜かれ、更にはアクリルアミドにも抜かれて三番目の位置づけになってしまいました。

つぎに繊維の分類表とアクリル繊維の位置づけをしめします。繊維の種類は原料で分類すると大きく分けてコットンを中心とした天然繊維。それと石油由来の化学原料によって製造される合成繊維に大きく分かれます。このうちアクリル繊維は合成繊維の一つであり、かつて(今も?)は三大合成繊維と呼ばれていました。

ただし現状は合成繊維のうちポリエステル繊維の需要の伸びが非常に大きく、繊維産業の大きな拡大を牽引してきた一方で、アクリル繊維は縮小の歴史を辿ってきており、いまや存在感が全くない繊維製品になってしまっているのが実情です。
以下最初に天然繊維も含めた繊維生産量の推移を示しますが、ライトブルーの部分がアクリル繊維の生産推移を示していますが、見落とされてしまう程の小さな存在です。

次にアクリル繊維の部分だけをピックアップしたグラフが下記の通りです。上段は世界生産、下段は日本生産を示します。繊維生産量全体が飛躍的に拡大している一方でアクリル繊維産業の散々たる状況を見る事ができます。 この事態に陥ってしまった理由としては第一にアクリル繊維の需要分野であった所をポリエステル繊維がとって置き換わった事にあると言えます。また置き換わりの理由としては、原料コストと製造コストの差が大きいことも背景になります。


つぎにアクリル繊維の需要を述べていきます。まずは一番大きな分野はアパレル衣料で大きな比率を占めます。所謂「ニット製品」と呼ばれる分野で、もともとはウール製品だったのがアクリル繊維に置き換わった経緯があります。二番目は屋内の製品でカーペットやラグ、カーテン等に使用されていますが、この分野はポリエステル製品に大きく置き換わった分野とも言えます。
なお一部約30万トンほどにまで成長した炭素繊維向けが存在しますが、アクリル繊維全体を牽引する程の力がある分野ではありません。なお、炭素繊維化されると重量で約半分になります。

最後にアクリル繊維(本ケースは湿式)の製造フローを示します。アクリル繊維がコスト高の要因の一つとして上段の重合工程とドープ製造工程です。合成繊維のポリエステルとナイロンは熱で溶融させて紡糸工程に行くのに対して、アクリル繊維は熱溶融が困難なので溶剤で溶融させてドープを製造。これを紡糸工程につなぎます。(なお繊維加工の経験がありませんので記述はここまで)


以上」


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